れおなのブログ~学生さん達へ③
5月に千葉市内の大学でお話しをさせていただき、その後にいただいたご質問への回答、第3弾!今回で、おしまいになります。
私は、とっても幸せな人間です♫ が、幸せでも、いちおう悩みはあるのです。そして数ある悩みの中でも、一二を争うのが、まさにこの、今回のテーマである、「もう一つの子育て」ともいうべき、兄弟のことなのです。正直、「痛いところを、ついてきたわぁ、、」という感じです。日々、探り続けていることを整理しきれず、こんなに遅くなってしまいました。どうか、もしこれを読んで、思うことなどあれば、どうぞ、ご意見をいただければ嬉しいです。
ひとまず単刀直入に、なおぽんのお兄ちゃんが、皆様からのご質問に何と答えたかを、お伝えします。
Q. お兄ちゃんは奈央斗くんにどのように接していますか?どうしても奈央斗くん中心の生活になってしまうと思いますが、お兄ちゃんはどのように、感じていますか?
A. え。べつに、フツー。そんな、じっくり考えないし。そんなもんじゃね?
すみません。小学6年生です。
Q. お兄ちゃんは、なおぽんのことを今では好きだと思いますが、小さい頃、母の愛情がなおぽんにしか与えられていない、と感じることが、なかったですか。
A. あんま、感じていない。てか、覚えてないし。
と、いうことです。
はい、以上ですって、終わりにできたらいいなぁ・・。
いえいえ、逃げません。きちんと、彼の様子と、今の私の思いをお伝えいたしますね。ちょっと、たぶん聞かれていないことも、ふくめて(笑)。
先ほどの本人の答えは、あまりにそっけないものでしたこと、お許しください。しかし、彼の答えは半分、真実を表しています。お兄ちゃんから、なおぽんに対する態度は、じつに、そっけないのです。特に反抗期になったから、という風でもなく、わりと、一貫しています。わざと、関わらないようにしているのじゃないか、とすら思えます。
でもその一方で、頼めば、弟にテレビやゲームの画面を見せてあげるし、言葉としては、さっきのようなことを言うので、親としては、わけが、わかりません。けどやっぱり、正直なところは、面白くないんじゃないかなぁ・・なんて、思っちゃうのです(それにしても、男という生き物は、大人も子供も、圧倒的に表現が少なめですね!テレパシーは、まだ、ないのです。話せるならば、もっと「コトバ」で女性に物事を説明する、努力をしてほしいものです!!!・・母&妻の強い希望(笑))。
あら、話が逸れましたが・・、いろいろと詮索してしまうのは、悲しい親のサガでもあります。そして、やっぱり私自身、心に、“やましさ”が、あるからなのです。
“子どものうったえには、全部こたえてあげる必要がある”
と、児童精神科医、佐々木正美氏が、『子どもへのまなざし』という本に書いておられます(とてもすばらしい本で、勉強になりました)。
これ、ずーっと子供を注目し続け、要求をかなえてやるべし、とおっしゃっているのでは、ありません。三つ子の魂なんとやら、ではないですが、人の成長には、とくに大切な時期(乳幼児期)がある。この時期に、親や周囲の人間がしっかり見守り、十分、望みをかなえてあげること。それが結果的に、より早い自立をうながし、自分と他者を思いやれる人間になるのだ、というようなことを、おっしゃっられたのです。
・・・これ、できなかった。
とても、とても、できなかった。お兄ちゃんの三つ子の魂の時期に。
そもそも、なおぽんがいようがいまいが、関係のない時代に、話が戻ります。そんな理想的な子育てを知らなかったし、できる器でも、ありませんでした(今もか)。怒鳴ったり、テレビに子守りをさせた日も、一度や二度ではありません。それでも、私なりに、一生懸命、愛し、全力で育てていたのですが、そこに突然、医療ケアバリバリの弟がふってきたのです。当然ながら、未熟な母は、弟のことで手一杯になります。お兄ちゃんには、急に、早く自立しろ、早く大人になれ、早く全部、一人でおやり、となってしまったのです。
弟にそのストレスをぶつけたくとも、取っ組み合いのケンカをするわけにも、いかないでしょう。どんなに駄々をこねてたくとも、弟のベッドの方を見れば、顔は真っ赤で呼吸は苦しそう、そしたらやっぱりすぐに、母がそちらへ飛んでいくのです。
どうしたって、兄に、勝ち目は、ありません。
(日中、こうして母だけで医療ケアの子供&他の兄弟たちを育てているご家庭は、たくさんあるのでしょう。幼いご兄弟がいる家ほど、これに似た状況が、日々、くり返されているんじゃないかなぁ?と、思います。)
とてもせつないことですが、恐ろしいことに、「だって仕方ないじゃん」と、いつしか自分の心に蓋をして、母親は、とにかく毎日を走り抜けます。そうしている内に、子ども達はどんどん大きくなっていくのです。もしも心の蓋を開けたなら、“こんなはずじゃなかった、この子には、もっと別の育て方をしてあげたかった”、といって、シクシク泣いている小さな自分が、いるのかも、しれません。
そんな罪悪感のような、そう簡単には消し去れない、過去の汚点、のようなものを抱えているのが、私です。これを、「引きずるべきでない、子ども達は今を生きているのだから」、と理解しつつ、ふとした時に、あ、やっぱりあの時期の、あの育て方がいけなかったせいかな・・と、ムクッと頭をもたげてくるのは、そうそう、なくならない事なのです。
でも、ふたたび言いますが、とにかく、『今、この瞬間』を生きているのが、私たちです。かの佐々木氏も、必要なステップは、いつからだって、始めればよろしい、みたいなことを仰っています。だから、なおぽんが生活も体調も(心も)落ち着いてきた、ここ2年くらいは、なるべく真っ向から、お兄ちゃんに向かうこと、すこし過剰なくらいに、彼へ目を向けること(文字通りに、視線をおく。怖い視線にならないよう、注意です)に、取り組み中です。そして、男性諸君にはとくに苦手そうな(笑)、「コトバで、想いを伝える」ことも意識しています。ときどき、かなりあつくるしそう(!)ですが。
たとえば、
あなたが、ただ先に生まれ存在してくれたおかげで、なおぽんを育てる勇気とエネルギーがもらえたってこと、愛って、コップに1杯2杯、のようにはかれるものではないってこと(どうしても、目に見える形を求めて、比べちゃう時期かなぁ、と思います)、弟の考えを予測するのに、この年頃のあなたならどうだったろう、と、今でも参考にしているってこと、あなたが運んでくるたくさんのイベントや友人たちが、私たち家族にすんごい、すんごい、刺激と喜びをくれているってこと、など、など、など・・・。
そりゃあ、たっくさん、伝えたいことが心に溢れかえっていますが、それらは、実際に声に出して伝えなくっては、なかなか、伝わらないのです。(とはいえ、これ一気に言ったら、確かにあつくるしいし、気持ち悪がられそう!小出しにしよう。)
長くなってきていますが、最後にもう一つ、私が頼みの綱に思っていることをお伝えします。それは、彼自身のお友達です。
兄弟のことも家のことも、全部わかっている幼馴染みから、同じように障がい児兄弟を持つ友達まで。なるべく、ありのままの彼、ありのままのライフスタイル、そのすべてを包み隠さずに付き合えるような、たくさんの友人たちに恵まれますように・・(そしてその点において、彼の運はこれまでなかなか、よろしいので、本当に嬉しいです)。母にも弟にも、言えないことが、きっとあるでしょうから。だから、そのような状況を作り、導いてあげることがまた、大切な親の仕事なのだと思います(いずれ、自然とそういう支援をいただける時代が、くるといいなぁ)。
本当に子育てって、悩みの“るつぼ”です。明らかな障がいのある子にも、そうでない子にも、それぞれのオリジナルの悩みがあって、つきることがありません。それを、やっぱりまだ、成長途中の自分が、すったもんだしながら一手に引き受けるのですから、「子育ては親育て」なんて、まぁよく、いい得てはいるけれど、もっともっと大変で、そんななまやさしいもんじゃないわよ〜〜〜って、叫びたくなります。ほんとに、ときどき頭を抱えちゃう。
でもいただいた皆様からのご感想の中に、「(障がいがあろうがなかろうが)普通の子育てをしている、お母さんだと思った」とか、「ごく普通の家族」というご意見も多くあり、正直、ホッとしました。結局、こうした私の気苦労も、障がい児がいるから、医ケア児の兄弟がいるから、なんてことに関係なく、数ある家族の形と数ある「すったもんだ」のひとつ、なのかもしれませんね。そう、願いたいものです。
・・・結局長いので、④へ続きます。
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